「がん」と診断された場合の疼痛管理

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「がん」と診断された場合の疼痛管理

概 略

がんが進行すると、80%が何らかの痛みを抱える。癌による臓器や組織の浸潤や圧迫、炎症が痛みを引き起こすといわれる。また化学療法や放射線療法などによる傷害も痛みを引き起こす。QOL(生命の質)を維持するためには、早期から痛みの段階に応じて適切に使用する必要がある。

 

アドバイス

・痛みは進行により増幅するだけではなく、痛みが持続することで、軽い刺激でも痛みを感

じてしまう。そのため早期の痛みの治療(ペイントコントロール)が必要

・痛みに対して、動物は言葉による表現が出来ないため、日常生活の変化等、飼主様からの

情報が治療する上での重要なポイントとなる

・痛みには段階があり、段階に対してそれぞれの薬剤を投与し、痛みをコントロールする

・副作用もあるので経過観察は重要

・麻薬等で取扱いが難しい薬もあるため、麻薬取扱い許可を受けた獣医師の指示のもと行う

・経口が困難な場合は張り薬(パッチ)等もある

 

主な症状

□活動性の低下

□食欲・飲水量の低下

□睡眠時間の短縮(ねられない・寝つきが悪い)

□社交性の変化・性格の変化

□行動変化(姿勢・歩き方・なき方)

□流涎・呼吸があらい

□排泄の変化

 

検査・診断

必要な検査

□飼主様からの聞き取り調査

□身体検査所見

 ※癌以外の病気・病状の確認

□血液検査

 腎臓・肝臓等薬剤排泄代謝経路の機能確認

より有効な検査

追加・必要な場合に行う検査

 

行っている治療

段階に応じて薬剤を使い分けと用量・回数等の調節が必要

 □①    NSAID

 抗炎症作用と鎮痛作用で最初に用いる薬

 様々な薬剤があり副作用も少ない

 主な副作用:消化管・腎臓・肝臓・血小板機能に対する障害が生じる可能性はあり

 □②    鎮痛補助薬

 ① との併用で鎮痛作用を発揮する

 主に用いる薬剤は、抗てんかん薬や抗うつ薬など神経系に作用する薬が多い

 副作用としては過度な鎮静が生じる場合があり、投与量と回数の調整が必要

 □③    オピオイド

 約80%で痛みが緩和され2種に大別される

 □1 弱オピオイド

    協力な鎮痛作用

 □2 強オピオイド

    最も強力な鎮痛作用

 副作用:心拍低下・呼吸数低下・嘔吐・消化管運動機能低下

 ※麻薬指定のため、取り扱い責任者の資格をもつ獣医師のもとでの処方が必要

 

推奨する定期検査

 □随時 

 用量、回数の調整と副作用の確認

予後

病態・病状により予後は異なるが、多くの場合、適切な治療を実施することでQOL(生命の質)を改善することが可能。しかし人同様に生命維持装置(人口呼吸器)等のアシストを随時行わないため、呼吸抑制等で死期を早める場合もある。また完全な鎮痛を得られない場合もあり、死期を早める選択(安楽死)も動物の場合は選択肢の一つにはなることも心の片隅に留める必要はある。

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